
完全栄養食だけでの生活は可能?メリットとデメリットを徹底解説
健康のために必要な栄養素を手軽に補給できる完全栄養食。パンやクッキー、ドリンクタイプなど、さまざまな種類の商品が販売されています。しかし、「完全栄養食って何?」「完全栄養食だけを食べて生活することは可能なの?」と疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?
今回は、そんな完全栄養食のメリットやデメリットを徹底解説!生活に取り入れる際のおすすめの方法などもご紹介しますので、完全栄養食の摂取を検討中の人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

管理栄養士/ヘルスビューティーアドバイザー高杉 保美
業界最大手プライベートジムにて、2,000人以上に 栄養指導してきた酒飲み・元デブ管理栄養士。 重力に負けないカラダづくりを食事から徹底的にサポート。 ダイエットの敵であるストレスに負けない栄養指導をライフスタイル別・体質別に行う。 自身も管理栄養士を取得後に半年間で-15kgのダイエットに成功! 食事もお酒も楽しみながら、ゆるく健康的にやせられる「ずるやせダイエット」を提唱。続きを読む
【結論】完全栄養食だけの生活を長期間続けるのはデメリットあり

結論からいうと、完全栄養食だけの生活を長期間続けることはおすすめできません。
完全栄養食は栄養バランスが良く、手軽に不足しがちな栄養素を補うことができるので便利な食品です。しかし、1日3食をすべて完全栄養食に置き換えてしまうと、人によっては必要な栄養素やカロリーが不足してしまう場合があります。
また、長期的にどのような健康への影響があるかはまだ分かっていないため、完全栄養食だけに頼りすぎるのは避けたほうが良いでしょう。完全栄養食は、あくまでも健康的な食事が摂れないときの補助としてなど、一時的に活用するのがおすすめです。
この記事では、完全栄養食だけで生活すると想定した場合のメリット・デメリットについて詳しく解説します。完全栄養食を生活に取り入れてみたい人は、ぜひ参考にしてくださいね!
監修者
管理栄養士/ヘルスビューティーアドバイザー高杉 保美
そもそも「完全栄養食」って何?

「完全栄養食」とは、それひとつで健康を保つために必要な栄養素をすべて摂取できる食品のことです。
一般的に、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に基づき、ビタミン・ミネラル・食物繊維・たんぱく質などの栄養素をすべて摂取できる食品のことを指します。多くの商品は、1食分を食べることで1日に必要な栄養素の1/3を摂取できるとされていますよ。
パスタ・ラーメンなどの麺類、グミ・クッキーなどの菓子類、パン、ドリンクなど、商品のタイプはさまざま。自分の食の好みや状況に合わせて選ぶことができ、手軽に栄養を補給できるのが魅力です。
監修者
管理栄養士/ヘルスビューティーアドバイザー高杉 保美最近ではコンビニやドラッグストアなどでもさまざまな完全栄養食が販売されており、間食やおやつとして活用している方も多くいます。糖質や脂質が中心のお菓子に比べると、体に必要な栄養が補える点ではヘルシーですね。
完全栄養食とサプリはどう違う?

完全栄養食と同じ「栄養補助食品」としては、サプリメントが挙げられます。2つの違いとしては、完全栄養食には5大栄養素がすべて含まれていますが、サプリメントは特定の栄養素に特化したものが多いこと。
そのため、全体的に栄養バランスを整えたいときは完全栄養食、特定の栄養素を補いたいときはサプリメント、というように使い分けるのがおすすめ◎ 自分の食事内容や補いたい栄養素を考えながら選んでみてくださいね。
サプリメントを飲むタイミングや基礎知識については、こちらの記事も参考にしてみてください!
完全栄養食に含まれる5大栄養素
完全栄養食には、炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの「5大栄養素」が含まれています。ここからは、完全栄養食に含まれる5大栄養素にどのようなはたらきがあるのか詳しく解説します。
①炭水化物:エネルギー源になる

炭水化物は、体のエネルギーの素となる大切な栄養素。人間のエネルギー源となる「ブドウ糖」を体の各組織に供給するはたらきをするものです。筋肉・内臓・細胞の動きや代謝のサポートなどに大きな影響を与えます。
また、脳の重要なエネルギー源でもあるため、不足すると疲労感や判断力の低下、注意力の散漫などが起こる可能性があります。人間が日々元気に活動するために、必要不可欠な栄養素といえるでしょう。
②脂質:エネルギーを貯める・体温調節を行う

脂質は、体に蓄えられてエネルギーとなる栄養素で、エネルギーの貯蔵庫のような役割を果たします。エネルギーは1gあたり約9kcalで、たんぱく質の約2倍。血液中の糖質やエネルギーが足りないときに頼りになる栄養素です。また、体温調節や断熱機能も持っています。
さらに、小腸から吸収されるときに脂溶性ビタミンの吸収も助け、細胞膜・角膜・ホルモンを構成したり、皮下脂肪となって臓器を保護したりする役割もあります。
③たんぱく質:体とホルモン酵素の材料になる
たんぱく質は、体を作る材料として重要な役割を担っています。体の組織や筋肉の成長・修復を助け、体をキープするのに必要不可欠な栄養素です。
また、体の機能を調整する酵素・ホルモン・抗体・神経伝達物質などの材料でもあり、さまざまな生理機能に影響を与えています。免疫・代謝・血圧の調整・神経機能の維持などにも大切な役割を果たしていますよ。
④ビタミン:代謝抗酸化作用や免疫力向上をサポートする

ビタミンは、微量栄養素であるものの、体の代謝をサポートしてくれる大切な栄養素です。抗酸化作用や免疫力向上のサポート、体のさまざまな生化学反応をサポートする役割を果たしています。
糖質や脂質、たんぱく質の代謝を円滑に進めてくれるので、潤滑油のようなはたらきをしているともいえるでしょう。体内ではほとんど合成されない栄養素のため、食物から摂取することが必要になります。
⑤ミネラル:体の調子を整える
ミネラルは、体の調子を整えるはたらきがある栄養素です。骨を健康に保つ「カルシウム」や、血液中の酸素輸送を助ける「鉄」など、さまざまな種類があります。全体的な健康維持に必要不可欠な栄養素といえるでしょう。必要な量は少ないですが、不足すると体の不調が出やすいので注意が必要です。
完全栄養食だけで生活するメリット3つ
完全栄養食は、栄養補給ができること以外にもさまざまなメリットがあります。ここからは、完全栄養食だけで生活する場合の3つのメリットを解説します。
①栄養バランスの管理が簡単でダイエット向き

完全栄養食のメリットは、栄養バランスの管理がしやすく、ダイエットにも向いていることが挙げられます。健康やダイエットのためには、炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランス良く摂取することが大切です。
完全栄養食は、必要な栄養素が適切な割合で含まれているため、食事の栄養バランスを考える必要がありません。毎回の食事内容に悩むことなく健康維持やダイエットができるのは嬉しいですよね。
また、ダイエット中は食事制限を行うことが多く、カロリーや栄養不足に陥ってしまうことがあります。そのため、体重が落ちたは良いものの、体に不調が出てしまうケースも。
ダイエットに完全栄養食を取り入れれば、摂取カロリーは抑えつつ必要な栄養素は摂取できるので、健康的な食事制限ができるでしょう。
置き換えダイエットについて詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください!
②食事に必要な手間や時間がかからない

完全栄養食は手軽に摂取できるので、食事に必要な手間や時間を減らすことができるのもメリットです。完全栄養食は、そのまま食べるだけだったり、溶かして飲むだけだったりするものが多いので、簡単に食べられるのが魅力。忙しいときの朝食やランチなどにも活用できます。
さらに、1食分のカロリーや栄養素もしっかり摂取できるので、ファーストフードなどで済ませるよりも健康的です。また、持ち運びできるものも多いので、外出先でもサッと食べることができます。忙しい現代人の栄養補給にも適した食品といえますね。
③保存期間が長く非常食にも活用できる
完全栄養食は保存期間が長いため、非常食に活用できるメリットもあります。保存期間は商品によって異なりますが、パウダータイプのものなどは1~2年ほど保存できるものもあり、非常用に備蓄しておくことが可能です。
また、温めたり調理したりする必要がないので、緊急時の食事に適しているといえるでしょう。非常時は栄養バランスの取れた食事が摂れない場合も多く、体調を崩してしまうことも考えられます。そんなときにも完全栄養食があれば、十分に栄養補給ができます。
保存期間が長いものをまとめ買いして、非常食としてストックするのもおすすめです◎
完全栄養食だけで生活するデメリット3つ

必要な栄養素がしっかり摂れて便利な完全栄養食ですが、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
そもそも、わたしたちの食事には、以下の3つの機能があるといわれています。
- 一次機能:栄養に関わる機能
- 二次機能:嗜好に関わる機能
- 三次機能:生体調節に関わる機能
この3つの機能を見ると、完全栄養食だけで生活することにはデメリットがあると考えられます。具体的にどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
①【栄養面】カロリー不足になる可能性がある
完全栄養食は、栄養素が含まれていても、普通の食事に比べてカロリーが控えめのものが多いです。そのため、カロリーが低い完全栄養食ばかり食べていると、カロリー不足につながってしまう可能性があります。
カロリー不足により集中力が低下したり、疲れやすくなったりする場合もあるので、完全栄養食の摂取量には注意が必要です。
②【嗜好面】食事の楽しさが減る可能性がある

食事は、栄養摂取のほか、ストレス解消やコミュニケーションなどにも大切な役割を果たすものです。手軽に摂取できる完全栄養食ばかり食べていると、単調な食事になりやすく、食事の楽しさが減ってしまう可能性があります。
「食事を楽しむ」ことは、人生の幸福度を上げるためにも大切なことです。すべての食事を完全栄養食にするのではなく、適度に取り入れて、普通の食事を楽しむ時間も作ることをおすすめします。
③【生体調節面】咀嚼回数が減って噛む力が衰えるリスクもある
完全栄養食だけを食べていると、咀嚼回数が減って、噛む力が衰えてしまうリスクもあります。通常の食事では、さまざまな食材を噛むので口周りの筋肉が使われ、顎の運動も促進されます。
しかし、ドリンクなどの完全栄養食ばかりを摂取していると咀嚼が減り、口周りの筋肉が衰えやすくなります。その結果、顎関節症のリスクが高まってしまう可能性も。
また、唾液には胃腸のはたらきを促す効果があります。そのため、咀嚼が減ることにより唾液の分泌も減り、胃腸機能の低下につながってしまうことも考えられます。完全栄養食ばかりに頼るのではなく、普通の食事でしっかり噛む機会を作ることも大切です。
監修者
管理栄養士/ヘルスビューティーアドバイザー高杉 保美カロリーや脂質、糖質不足も懸念される一方で、ダイエット目的で活用している方の中には、1日の糖質量や脂質量が逆に多くなり太りやすくなってしまう方もいます。人それぞれ必要な栄養素や量は違うので、完全栄養食に頼り過ぎてしまうのはよくないですね。
完全栄養食を生活に取り入れるおすすめの方法4つ
完全栄養食だけでの生活にはリスクがあるものの、上手に取り入れれば効率的に栄養補給することが可能です。ここからは、完全栄養食を生活に取り入れる際のおすすめの方法4つをご紹介します。
①食事の一部を完全栄養食に置き換えてダイエットに活用する

おすすめの方法1つ目は、食事の一部を完全栄養食に置き換える方法です。完全栄養食だけではカロリー不足に陥りやすいですが、1日の食事のうち1食だけを置き換えることでカロリー不足を防ぎ、体に必要な栄養素もしっかり摂取できます。
そのほかの食事は通常どおりなので、完全栄養食の味に飽きたり、単調な食事になったりするデメリットも解消できるでしょう。
②普段の食事に取り入れて栄養バランスを整える
「普段の食事のバランスに自信がない…」という人は、普段の食事に完全栄養食を取り入れる方法がおすすめです。栄養バランスの良い食事を毎食作るのは大変ですよね。そこで、作った食事に一定量の完全栄養食を混ぜることで、食事の栄養バランスを整えることができます。
プレーン味のものを使用すれば、料理の風味を損なうこともありません。好みの味のものがあれば、料理にトッピングしたり、デザートに加えてみたりして楽しむのも良いでしょう。
③忙しくて食事を抜きがちなときの朝食として活用する

完全栄養食は、忙しくて食事を抜きがちな「朝」に活用するのもおすすめです。朝はエネルギーを補給し、代謝を活発にするために大切な時間帯。そのタイミングで完全栄養食を摂取することで、手軽に栄養を補給できます。
朝食を食べる習慣がない人は、ドリンクやスープ、パンタイプの完全栄養食などが食べやすいですよ◎
④補食(おやつ)として完全栄養食を取り入れてドカ食いを防ぐ
おやつとして完全栄養食を取り入れるのもおすすめの方法です。夕食が遅くなったとき、空腹からつい食べすぎてしまう人も多いのではないでしょうか?遅い時間に食べると太りやすく、ドカ食いによりカロリーオーバーにつながってしまう可能性もあります。
そこで、手軽に食べられる完全栄養食を捕食(おやつ)として取り入れれば、夕食の食べすぎを防ぐことにつながるでしょう。完全栄養食には、クッキーやグミ、シリアルバータイプなど、おやつに適したものも多いです。
普通のお菓子などに比べると糖質が抑えられているので、ダイエット中の間食にもおすすめ◎ おやつでありながら、栄養バランスを整えられる点も魅力です。
完全栄養食だけで生活するのはNG!上手に取り入れて健康的な食生活を目指そう

今回は、完全栄養食だけで生活した場合のメリット・デメリットについて解説しました。
手軽に不足しがちな栄養素を摂取でき、便利な完全栄養食ですが、それだけで生活するのはNG!しかし、上手に活用すれば、効率的な栄養補給やダイエットの手助けとなります。
ぜひ本記事を参考に完全栄養食を取り入れて、健康的な食生活に役立ててみてくださいね♪
監修者
管理栄養士/ヘルスビューティーアドバイザー高杉 保美完全栄養食は、自分のライフスタイルに合った活用方法を見つけることがおすすめです!運動前に取り入れたり、忙しい朝ごはんに置き換えたり、仕事中の間食として使用するなど、工夫していきましょう!
栄養補給の効率を考える方に人気な完全栄養食ですが、デメリットもゼロではないのでしっかり理解した上で活用していただくのが良いですね!