「垢抜ける」という語に関して、常々思うことがある。別にLIPSにごろついてる「垢抜ける方法」みたいなのに噛み付いてるわけじゃなく、個人の考えとして思う部分があるのだ。あ、画像はそれとは別にLIPS見ててよく思うことをポップな感じにまとめてみたやつなので、特に深く考えずに笑ってくれればいいよ。
♡髪の毛はツヤツヤロングのストレートにする
♡肌は真っ白でスベスベにする
♡ポイントメイクは薄めにする
♡香水をつけていい匂いにする
こういうやつ、こういうやつに関して思うことです。まあ大概ぜんぶこういうやつなんですけどね。
人間はそもそもの顔立ちが70億人70億色違うのやから、それぞれの思う美しさを目指すのがいいし、その人それぞれに似合う容貌になることが垢抜けることやと思う。ちなみにわたしは黒髪ロング(特にストレート)は似合わないし、紫や水色のベースメイクで能面みたいな白浮きをさせてまで色白になろうとも思わない。皮膚の健康が損なわれるので日焼けのケアはもちろんしますけど。
世の中には生まれ持った髪質が縮毛で、月に何万円もかけなければストレートヘアにならない方もいるし、アトピーやアレルギー性皮膚炎なんかでベースメイクどころじゃない方もいる。一概に「ツヤツヤの黒髪ロングストレート♡」になることが垢抜けることではないし、「ニキビゼロ♡毛穴レス♡色白肌」ならば可愛いってわけでもないのだ。それにオカメ納豆のパッケージのオカメは黒髪ロングストレートやしニキビゼロで毛穴レスの色白肌やけど垢抜けてるかというとそういうわけでもなさそうだ。
ではなぜ垢抜けるためにはみんながみんな黒髪ロングでツヤツヤのストレートにしなきゃいけなくて、なぜみんな雪のように白い肌でいなきゃいけなくて、なぜみんなキャンメイクの安っぽい香水を振ってなきゃいけないんだろうか。
これについては「可愛い」ということに対するパブリックイメージがデカすぎてるんやと思うのですが、これでは黒髪ロングの似合う肌の綺麗なブルベ冬女ちゃんしか垢抜けることができないことになってしまう。イエベ秋女ちゃんが垢抜けようとすると、黒髪が似合わなくて顔色が緑になったり、肌を白く見せようとして顔面だけ白く浮かび上がったりしてしまう。
こんなことしてる内は絶対に垢抜けることなんてできません。垢抜けるとはブルベ冬女ちゃんになることではない。その人それぞれの美しさを磨くことです。その人が自分のありのままの姿が好きならばそれが一番やと思うし、化粧した姿が好きならば化粧するのが一番やと思う。
ではすべての人が一様に垢抜ける方法がないのかというと、そういうわけでもない。なんだかんだ言ってルッキズム社会のこの惑星には黄金比というものがあるので、顔立ちを黄金比に近づけてしまえばいい。しかしもともとの顔があまりにも黄金比から外れてる場合がある。わたしのようにね。ならばどうするのかというと、悪を蹴散らして正義を示すのだ…、間違えた、顔全体の雰囲気を整えて黄金比っぽく見せるのだ。
顔全体の雰囲気を整えるには「サイズ感」、「立体感」と「パーツ配置(の雰囲気)」を変えるしかないだろう。日常レベルの人との関わりでは、パッと見た感じの印象でしか美醜の判別がなされない。1m、2m離れた位置から、全体を通して見て美人に見えるバランスを探す。しかもこれ人によって違うからとにかく鏡と睨み合うしかない。
自分の顔の形、肉の着き方、頬骨の出方、おでこの広さ、頭蓋骨の形、鼻の高さ、鼻筋はどこから高くなるか、まつげの生えてる範囲、顎なしは下顎が短いのか下顎が引っ込んでるのか、出っ歯なのかアデノイドなのか、黒目の位置は中心か外側か、蒙古襞はどこまで伸びているか、両耳の位置の左右差はどうか。
自分の顔を理解してからようやく髪型を整える段に入る。頬骨が気になるのか下膨れが気になるのか、鉢張りを隠すのか、その中で一番隠したいのはどれか、毛質はショート向きかロング向きか、顔色と髪色は合っているか。その次がベースメイク。できれば肌状況も改善してマイナスをゼロにするのではなくてゼロをプラスにするためのベースメイクができる肌作り。
学生さん、というかまるきりわたしが学生の頃の話なんやけど、お母さんが買ってきてくれたシャンプーを疑いもせずにずっと使ってたら、実はそれが髪の毛にあんまり合ってなかったなんてこともある。高校生のときにJくんの真似をしてドンキでいち髪を買ってきて、そこで生まれて初めてTSUBAKIが髪質に合ってなかったことを知ったのがわたしだ。
あと「ヘアオイルはつけすぎるとベタつくから少なめにするように」って母親の忠告を守って生きていたのに、実は乾燥広がり毛でオイルがたっぷり必要な髪質やと気づいたのもその頃。母親は縮毛矯正さんなので、地毛がストレートのわたしとはちょっと違ったらしい。
ついでに髪色の話やけど、わたしは疑うべくもないほどど真ん中にイエベ秋で、パーソナルカラーについて勉強した妹(美容学生)にも「イエベ秋」の太鼓判を押されているほどなんやけど、遺伝的に髪の毛がものすごく黒いんですよ。もう黒染めのように黒くて、しかも毛先までみっちり色素が詰まってるからずっと黒い。
けどね、イエベ秋って真っ黒の黒髪は似合わないんですよ。そしてそれに気づいたのは、大学に合格した直後の三月に生まれて初めてバイトを始めて(自称進学校やったのでバイトしてる人なんかいなかったし、してないのが当然やったよ)、初めてのお給料で髪の毛を染めたときなんですよね。安っぽいサロンでやってもらった安っぽい赤茶色でしたけど、それでも黒髪より良かったし、なにより顔色が緑色にならなくなったのが一番嬉しかった。この辺で知見を広げることの大事さの片鱗が見えてきますね。
黒髪色黒(自称)の高校生の女の子たち〜!ぽまいらときどき顔色が緑になるかもしれないけどさ〜!グリベ(グリーンベース)とかいうツイッター発祥みたいなよくわかんねえPC名乗りたくなるときもあるかもしれないけどさ〜!校則さえなくなりゃ、案外一発で解消したりするよ〜!本来のPCを生かしたカラーリングにするだけで、勝手に肌にも透明感出るから〜!
はい本題に戻りましょう。自分自身の顔、自分に合うものを理解してから、ようやくポイントメイクを気にする番。眉毛とチークをマスターすればもうそれ以外はなんにもできなくていい。眉毛は顔の形・髪型・顔立ちのタイプに合わせて切るなり剃るなり描くなり引くなりする。自分の顔が理解できてればそれでいいし、わからなければ眉サロンにいけばいい。プロの手を借りるのも大事。プロはお金を取るだけのノウハウを持ってるんやから、四の五の言わずにお金を払えばよろしい。
チークはなりたい顔に合わせて塗り方を考える。例えば可愛い顔にしたいときは目の下に横長に引くわけやけど、それも世界人類皆一様におんなじ高さにおんなじ濃さに塗ればいいわけじゃない。丸顔の人は少し丸めに、面長の人は少し下の方に、頬が痩けた人は頬骨の上に、逆に下膨れは頬骨の下に向かって塗る。濃さは全体のメイクに合わせて変える。大きな鏡でメイクするのは顔全体を大きく見るためであって、鏡よ鏡、鏡さんと白雪姫の継母ごっこをするためではない。
クリームチークにするかパウダーチークにするかもそうやし、ブラシを大きめにするか小さめにするか、柔らかいブラシかコシのあるブラシか、平たいのか丸いのかでも仕上がりは変わる。ブラウン系でもピンクブラウンかオレンジブラウンか、ベージュにするかコーラルにするか、ローズにするか朱にするか。メイクは人によって合うものが絶対に違うから、可愛い人の真似をすれば可愛くなれるわけじゃない。その人それぞれに合ったものがあるし、髪型やファッションや加齢による顔立ちの変化で日に日に変わるからその中でも毎日違う。
LIPSではよく「丸顔向け」「ツリ目向け」みたいな記事が書かれるし、もちろんわたしもしょっちゅうそのような書き方はするんやけど、これはちょっと人によって認識に差があるんじゃないかと思う。雑誌もネットも実生活も、参考にするというのは「選択肢に加える」という行為であって、「そのまま真似する」ためのものではない。だってモデルはあなたではない。
わたしは自分の顔のタイプをかなりなところ理解してるつもりなんやけど、それでも面長の人のためのメイク術も盛り込むし、ツリ目の方用のメイクも垂れ目の方用のメイクも活用する。なりたい顔に合わせていろんな情報を継ぎ合わせて自分の顔に集合していく。いろんなものを盛り込むにはいろんなものをまず知っていないとできない。というのも暗中模索で五年かけて蓄積したあなたのノウハウが雑誌やハウツー本では常識レベルのテクニックやったりするから。知見を広げるというのは地道なように見えて一番のチートになる。先人が試し尽くして効果があったものだけが残ってるんやから真似するのが一番。
LIPSに関してもそうで、初期であればまだしも現在のLIPSはもはやコスメのレビューという@ cosme的な狭義の機能は果たしておらず、メイクのやり方や全体の仕上がりをどうこうというレビューが人気のトップに上がってくるアプリなので、であれば活用の仕方も変わって当然だと思う。そうなったときわたしたちLIPSユーザーは、LIPSを知見を広げるためのバフとして活用して然るべきであろう。
令和という時代は雑誌上のもともと可愛くてもともと小顔でもともと二重のもともと美人をモデルにしかメイク方を学べなかった時代ではすでになく、探りを入れずらいクラスの子や近所の子レベルの女の子のリアルなメイクが詳細に、膨大な量で提供される時代だ。同じくらいのスペックの女の子たちのノウハウを大量に仕入れられるってものすごくありがたいことやと思うし、これがものすごく役に立つ。だってわたしの顔はそもそも美人ではないから。
これはツイッターでも使い古された表現やけど、雑誌なんかで紹介されるメイクはそもそも綺麗なショートケーキにホイップクリームを絞ったり、苺を乗せたりする部分しか見せてくれない。わたしたちに必要なのは潰れたスポンジケーキをどのように立て直すかとか、スポンジケーキがぐじゅぐじゅでもケーキっぽい見た目に仕上げる方法やというのに。
このような言い方をするのは失礼にあたるっていうのを重々承知の上で言うけど、LIPSはスポンジケーキの潰れた女の子たちのメイクプロセスを知ることができる貴重な場所やと思ってる。そのなかにもガスガスのスポンジがいてたり、ぺなぺなに萎んだスポンジがいてたりして、自分のタイプに良く似たものをたくさん見つけられる。顔面偏差値を50まで持っていくためのメイクがたくさん載ってる感じなんだよね。
人気のユーザーは結局美人とかいう結果に帰着しちゃう部分はあるんやけど、美人と言ったって北川景子とか佐々木希みたいなレベルの美人はいないし、率直に言えばせいぜい「クラスで三番目」くらいのビジュの方しかいらっしゃらない。昨今夏の蚊か蛆のように湧いているアイドルのビジュ欄が示すように、現代の「可愛い」って最低レベルが上がってると同時に最高レベルも下がってるんやと思う。
LIPSはわたしが十年かけて蓄積してきた顔面偏差値を30から50にするためのメイクとか、他の方のそのようなノウハウが履いて捨てるほどごろついていて、それを若い子が横から攫っていけるものすごく自由で、広々とした新時代の空間であると感じる。こんなアプリやサイトがそのへんにゴロゴロ転がってる世の中で、最近のJCやJKが可愛いのは当然なんやろう。
そこでわたしはさらに思う。「そっくりそのまま真似する」というのも確かに知見を広げる行為の一つではあるんやけど、LIPSとかYouTubeをそっくりそのまま真似するためのものと認識するのはちょっともったいないんじゃないやろうか。
LIPSユーザーとかは雑誌モデルと違って、元々の顔面のスペックの幅が人によってかなりあるんだよね。だから仕上がりが人によってほんまにマジで全然変わってしまう。LIPSはあなたのメイクの選択肢を広げる情報として使って、あなた自身の顔はあなたが自分で鏡と向き合って、三面鏡やiPhoneの外カメも使って、生で会う美容師さんやクラスの子の意見も聞いてみて、その上でどの方法を選ぶかを自分で決めるのがいいと思う。
つまりなにを言いたかったのかと言うと、石原さとみのメイクをそっくりそのまま真似しても石原さとみみたいな美人にはなれないのとおんなじことで、わたしのレビューを文字通り額面通り受け取らないで欲しいと言うことなんですよね。わたしのレビューはさらっと斜め読みして、「ほうほうこんな考え方もあんのね」、「チークは頬骨の外側まで塗ってもいいのね」と選択肢の一つとして取っとくくらいに収めてほしい。だってあなたの顔の形とわたしの顔の形は違うし、目の位置も頭の形も肌の色も違う。もちろん目標とするゴールも違う。LIPSは知見を広げる場であって、信者のように可愛い言葉で崇拝していただく場ではないし、無理に読みたくもないレビューを読んで、なんとかコメントを捻り出して絆ごっこをする場ではないと思っています。
わたしはLIPSのフォロワーさんには、わたしの十年を横から掻っ攫って、可愛いあなたの人生の選択肢の一つにして欲しいと思います。我ら新章(あらた)なる帝国華撃団…、間違えた、わたしたち令和なる時代を生きる女の子(ギリギリね)として、しに子ちゃんが2020年の初めに思うことでした。
ちなみに跋扈する「垢抜ける方法♡」
♡髪の毛はツヤツヤロングのストレートにする
♡肌は真っ白でスベスベにする
♡ポイントメイクは薄めにする
♡香水をつけていい匂いにする
が最終どれもこのような結論になる理由についてわたしが個人的にわかったつもりになってることあるんやけど、これね、書いてるのがほとんど中学生か高校生の学生さんやからです。
日本の大体の学校って制服があって、そんでその制服っていうのがセーラーでもブレザーでも大体ネイビーなんですよね。グレーとか黒もあるけど少数派やし、少なくともわたしの地元では八割以上がネイビーと白を基調としてます。
清潔感とか、汚れの目立たなさとかあるのもわかるし、本来水兵さんの制服やから青っぽいカラーリングなのもわかります。でもさ〜!でもネイビーも白もさ、ブルベにしか着こなせない色なんだよね〜!
学生さんとなると生活のメインは学校生活、以前苦言を呈した通り「学校はルックスを縛るのに、学校生活はルッキズムに縛られてる」んですよ。学校で可愛いと思われるためには、学校の制服を着た状態で可愛くないといけない。化粧もできず、染髪もできない状態では、ネイビーの制服を着こなせるブルベ冬女ちゃんが一番可愛くなりやすいんです。環境的に。
もちろんそもそもの顔面が可愛い人ならPCとかぶっ飛ばして可愛いし、イエベとかブルベとかを盾にして可愛かったり可愛くなかったりするのは甘えなような気もするんですけど、「それぜんぶブルベ冬の条件やんけ!」なことが垢抜けることとされてる理由はこのへんにあると思います。
もし高校の制服が黒かベージュのスクエアネックで、肩落としの厚手のニットカーデがアウターで、ハリのある生地でできたAラインのフレアロングスカートだったら、あなたはものすごく可愛い人間なのかもしれません。制服や校則なんてくだらないもののために、あなたが可愛くなれない世界なんて余計くだらないでしょう。
初めまして。ポップな画像で目が引かれ最後まで読み終わりました。学生の頃(今や遠い昔)、これを見させたい!!ってなりました。長文でも文章が素敵だったので、さらっと読めましたし、無断転載は絶対に良くないですし、芸能人の写真ももってのほかで、黒髪ストレートロングクソ似合わない私には納得いく内容でした。(憧れと現実の差) 真面目にかつコミカルに考え方を伝えてくれる、優しい方なんだなと思いました。(ベタ褒め) 他の投稿もこっそり見たいと思うので、さり気なくフォローしました。素敵な投稿ありがとうございます!!