
【LIPS labo】シミケアの新知見!?研究者が語る「オートファジー×真皮ケア」の全貌
ケアしても消えないシミ、実は「真皮層」に落ちたメラニンが原因かもしれません。岡山大学と神戸大学の研究で、レスベラトロールが細胞の自浄機能「オートファジー」を活性化し、真皮のメラニン分解を促す可能性が明らかに。そのメカニズムを、研究内容とともにひも解いていきます。
私たちの永遠の悩み「シミケア」について

毎日日焼け止めを塗って、美白*美容液も使ってる。なのになんで、シミができてしまうんだろう…。実はそれ、「防ぐ」ケアだけでは届かない場所に、シミが潜んでいるからかもしれません。
岡山大学と神戸大学の共同研究チームが明らかにしたのは、肌のずっと奥——「真皮層」に蓄積してしまったメラニンを、細胞自身の力で分解できる可能性。しかもそのカギを握るのが、赤ワインやブドウに含まれるポリフェノール「レスベラトロール」という成分なんだそう。
今回は、岡山大学大学院 ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの教授と、神戸大学大学院 海事科学研究科の辻野義雄特命教授に、その詳細を聞きました。
*メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ
そもそも、シミはどうやってできるの?

シミは、肌表面「表皮」の一番奥、基底層にある「メラノサイト」という細胞から誕生。ここが紫外線などの刺激を受けると、"シミのもと"であるメラニンを作り始めます。
メラニン自体は、実は肌を守るための防衛反応の一つ。本来は、肌のターンオーバーにともなって、約28日かけて自然に排出されていきます。
しかし、メラニンの生成が過剰になったり、ターンオーバーが乱れたりすると、排出が追いつかず肌に蓄積。「シミ」として表面化してしまうのです。
実は、"防ぐケア"が届かないシミがある
これまでのシミケアは、「メラニンを作らせない」「肌に定着させない」という、いわば”守りのアプローチ"が主流でした。
しかし、近年の研究では、もうひとつ別の“さらに厄介なルート”が存在することがわかってきました。それが、“真皮のシミ”。
詳しいメカニズムはまだ解明はされていませんが、基底膜の損傷や老化など強いダメージを受けた肌では、表皮にとどまるはずのメラニンが、表皮と真皮の境界「基底膜」を超えて、さらに深い真皮層までこぼれ落ちてしまう現象があるのだそうです。
真皮には、ターンオーバーがないらしい
真皮には、コラーゲンやヒアルロン酸を作る「真皮線維芽細胞」が存在しており、表皮から落ちてきたメラニンの一部は、ここに取り込まれてしまいます。
表皮のメラニンであれば若い肌では約28日のターンオーバーで自然に排出されます。しかし、真皮には、表皮のような定期的な排出サイクル(ターンオーバー)がないと考えられており、一度取り込まれたメラニンは、行き場を失ったまま、とどまり続けてしまう。
メラニンを自ら排出できない真皮層は、色素沈着しやすく、肌の透明感を損なう要因になることがわかってきたのです。
真皮を健やかに保つ秘訣は、「オートファジー」にあり!
透明感を保つには、真皮を健やかに保つことも大切。では、真皮に落ちたメラニンはどうすれば処理できるのか?研究チームが注目したのが、「オートファジー」という細胞の機能でした。
細胞が持つ、リサイクル機能「オートファジー」とは?

オートファジーとは、細胞が自分自身の中に溜まった“ゴミ”を片付ける仕組みのこと。いわば、細胞内のお掃除&リサイクル機能です。
細胞も長く働いていると、古くなったタンパク質や老廃物がどんどん溜まっていきます。これを放っておくと、細胞の働きが低下してしまうことも…。
そこで活躍するのがオートファジー。不要なものを見つけると、膜でぐるっと包み込み、「リソソーム」という分解の場へ運びます。不要物はそこでバラバラに分解&リサイクルされるんです。
私たちの体では、この一連の自浄作用があらゆる細胞で常におこなわれています。細胞内を常にクリーンに保つことで、健康や若々しさを維持できていると考えられているんです。
なお、オートファジーは、日本の生物学者である大隅良典教授によって発見され、その仕組みが解明されました。大隅教授はこの功績により、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています
"お掃除スイッチ"を押してくれる「レスベラトロール」
そして今回の研究のカギとなったのが、「レスベラトロール」という成分です。
レスベラトロールは、赤ワインやブドウの皮、ピーナッツの薄皮などに含まれるポリフェノールの一種。抗酸化作用や免疫などの領域で研究されてきた成分で、近年は細胞の“お掃除機能”を活性化する力にも、大きな注目が集まっています。
しかし、その力が「真皮のシミ」にどう関わるのかについては、あまり研究されていませんでした。
もし、レスベラトロールによってオートファジーを活性化できれば、真皮に溜まったメラニンも、自分自身の力で処理できるのではないか——。そんなシンプルな仮説から、今回の研究はスタートしました。
真皮のメラニンは分解できるのか?検証がスタート

研究ではヒトの真皮線維芽細胞を使って"真皮にメラニンが存在する状態"を再現。そして、レスベラトロールを加えた場合と加えない場合で、細胞内の変化を比較しました。
結果として、レスベラトロールを添加した条件ではメラニンに関わる構造の分解がより進んでいることが確認されました。さらに、オートファジーに関連する遺伝子の発現にも変化が見られ、オートファジーが活性化されていることも判明しています。
つまり、「レスベラトロールを添加→オートファジーが活性化→真皮メラニンの分解促進」という可能性が、細胞レベルでの実験から示唆されたのです。
この結果は、シミケアの「次の一手」になる予感
「シミが表皮だけでなく真皮にもできるという事実は、まだ広く知られていません。真皮に関するシミ研究は圧倒的に少ないのが現状ですが、今回の研究でレスベラトロールが真皮の細胞にまで影響を及ぼすと知ることができたのは、大きな一歩だと思っています」(佐藤教授)
「作らせない」という守りのケアから、「すでに溜まったものを排除する」という攻めのアプローチへ。これが今回の研究が持つ、最大の意義です。
ただし、現時点での結果は細胞レベルでの検証によるもの。レスベラトロールは体内で分解されやすい性質もあり、実際に真皮へ届けるための処方や有効濃度については、今後さらなる研究が必要とされています。
次に研究チームが注目するのは、日本の伝統食「黒酢」
研究はここで終わりません。研究チームが次に注目しているのが、黒酢や紅麹などに由来する新成分「フレグライド1」。辻野教授が発見し、佐藤教授も機能解明に携わったこの成分にも、オートファジーを活性化する作用があることがわかってきました。
「今、韓国をはじめとした海外の化粧品が非常に人気ですが、日本の化粧品研究も間違いなく世界トップレベルといえるでしょう。黒酢のような日本古来の素材から、科学的根拠に基づいた新しい価値を見出すことは、国内の産業への貢献にも繋がると信じています」(辻野教授)
肌の細胞が元から持つ力「オートファジー」をどう引き出すか。この研究が、消えないシミへの新しいアプローチとして、スキンケアの常識を塗り替える日が来るかもしれません。
<参考文献>
Saki Okamoto, Saya Kakimaru, Mayuko Koreishi, Mika Sakamoto, Yoshimasa Nakamura, Hideya Ando, Yoshio Tsujino, Ayano Satoh,Resveratrol, a food-derived polyphenol, promotes Melanosomal degradation in skin fibroblasts through coordinated activation of autophagy, lysosomal, and antioxidant pathways, Journal of Functional Foods
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