子どもから大人まで何気なく使っている歯磨き粉。その役割を改めておさらいすると、大きくは歯磨きによる清掃効果を高めることといえます。

歯磨き粉は化粧品・医薬部外品・医薬品に分けられ、多くは薬用成分を配合した医薬部外品です。歯ブラシでこするだけでは得られない、次のような効果が期待できる商品が展開されています。

• ホワイトニング*
• 口臭予防
• 虫歯予防
• 歯周病予防

嬉しい効果が満載な一方、歯磨き粉を使うことにはデメリットも。爽快感があるためきちんと磨けていなくても磨けたような感覚になるほか、口の中が泡でいっぱいになって短時間で歯磨きを終えてしまう人が多くいます。

歯磨き粉は、あくまで歯磨きの効果を手助けするもの。歯磨き粉を使うだけで満足することなく、正しい歯磨きの方法を理解することも重要です。

*歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐこと

ひとくちに歯磨き粉といっても、商品によって特徴が異なります。自分に合ったものを選べるように、選び方のポイントを押さえましょう。

歯磨き粉は、アイテムによって入っている成分が異なります。着色予防や口臭対策など、自分が歯磨き粉で叶えたい目的を踏まえて、それに合った成分が配合されているかどうかを確認しましょう。

年齢や食品の色によって起こる歯の黄ばみや着色汚れを予防するなら、ホワイトニング効果*のある成分が含まれた歯磨き剤を選びましょう。研磨剤で表面の汚れを削り落とすだけではなく、次のような成分が含まれているかチェックしてください。

「ポリリン酸ナトリウム」は黄ばみの原因である歯石の沈着を防ぐ効果、「ポリエチレングリコール」「ポリビニルピロリドン」はタバコのヤニなどを溶解する効果が期待できます。このように、ホワイトニング*歯磨き剤のなかでも原因に合わせて成分を選ぶのがおすすめです。

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*歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐこと

口臭を予防をするなら、きちんと歯の汚れを落とすことが大切。さらに、ニオイの原因となる菌を除去できる成分が含まれた歯磨き剤を使うと、より徹底的な口臭予防ケアができますよ。

こちらに挙げた3種類は、殺菌成分。口臭の原因菌を殺菌することでニオイの発生を防ぎます。また口臭を予防するには、歯だけではなく舌の清掃も大切です。歯ブラシ・ガーゼ・舌ブラシなどで舌の表面についている汚れをやさしく落としましょう。

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「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」などのフッ素は、虫歯を予防するための成分。ほとんどの歯磨き粉に配合されており、虫歯予防の効果をより期待するなら、1000～1500ppmFの高濃度のタイプがおすすめです。

ただし、小さな子どもに使用する場合は誤ってたくさん飲み込んでしまったときのリスクを考慮して、濃度が低めの子ども向けのものを選ぶか、900～1,000ppmFのものをごく少量使用するようにしてください。

*参照：厚生労働省「フッ化物配合歯磨剤」

歯茎が炎症を起こし、腫れたり出血したりする歯周病。それを防ぐには、毎日の歯磨きで清潔な状態を保つほか、殺菌効果のある歯磨き粉を使うのがおすすめです。

すでに歯茎に炎症が起きている場合は、腫れや出血を抑えたり、血行を促進したりする成分が含まれたものを選びましょう。

ここに挙げた成分は一例。殺菌・抗炎症・血行促進に着目して、商品を選んでみてください。

冷たいものを食べると歯がしみる知覚過敏も、歯磨き粉を使うことでケアできます。チェックしたい主な成分は次の2つ。

乳酸アルミニウムは食事のときに感じる痛み、硝酸カリウムはブラッシング中に感じる痛みに効果的です。知覚過敏の状態に合わせた成分を選ぶようにしましょう。

歯磨き粉には、チューブに入ったペースト状のものだけではなく、ジェル・液体・フォームタイプといった種類があるのをご存じですか？ それぞれの特徴と、おすすめしたい人を解説します。

ペーストタイプは歯磨き剤のなかでもポピュラーな種類というだけあり、商品数の多さが魅力です。泡立ちが豊かでスッキリとした使用感のものが多いため、磨き上がりの爽快感を求める人にぴったりの種類といえます。

一方、泡立ちが豊かなゆえに、電動歯ブラシだと泡が飛び散りやすくなるというデメリットも。手で磨くタイプの歯ブラシを使う人におすすめです。

パッケージの見た目はペーストタイプと同じなものの、特徴が大きく異なるジェルタイプ。発泡剤が含まれていないため、ペーストのような泡立ちはほとんどなく、粘着性があるため歯の表面や歯間にぴったりと密着しやすいことが特徴です。そのため、配合成分を長く歯に留められます。

研磨剤が含まれていないため、小さな子どもやお年寄り、歯茎が敏感な人にもおすすめです。ただし、ステインなどの着色汚れは落ちにくい傾向にあります。歯磨き粉の泡が苦手な人や電動歯ブラシを使っている人、虫歯・歯周病といった歯の悩みを防ぎたい人や歯茎が敏感でやさしく歯磨きしたい人などにおすすめです。

液体タイプの歯磨き剤は、適量を口に含んですすいだあとにブラッシングを行うもの。口の中でぶくぶくさせて使うため、歯ブラシが届かない歯のスキマや歯茎にも成分をしっかりと行き渡らせやすいことが特徴です。また、研磨剤が入っていないため、歯茎が敏感な人にもおすすめ。

似たアイテムに洗口液があり、液体歯磨きは使用後に歯ブラシで磨くのに対して、洗口液は歯磨きとは別に口臭を防ぐ、口内を爽快にするといった目的で使います。歯磨きとして使うのであれば、洗口液ではなく液体歯磨きを選ぶようにしましょう。

商品数がまだ少ないフォームタイプは、ポンプを押すと歯磨き剤が泡になって出てきます。きめ細かい泡が口内全体に行き渡りやすいほか、ワンプッシュで1回の適量が出るので、出しすぎることが少ないというメリットがあります。泡立てるためにブラシでこする必要がないため、こすりすぎを防げるのも嬉しいポイント。

ただし、口の中が泡で満たされる心地よさから、十分に磨けていなくてもきれいになった気がするデメリットがあります。その点に注意すれば、泡立てる時間を短縮できる便利なアイテムです。

ペースト状が主流になる前に使われていたパウダータイプの歯磨き剤は、濡らした歯ブラシにつけるなど水分を加えて使用するもの。歯磨き剤自体には水分がない分、成分を高濃度で配合できることが特徴です。

防腐剤や発泡剤が入っていないものが多いため、成分にこだわり、磨き残しなくしっかりと歯を磨きたい人におすすめですよ。

研磨剤とは歯の表面の汚れや着色を落とす成分であり、 商品によって使用されているものとされていないものがあります。次に挙げるような成分が研磨剤の一種です。

研磨剤入りは、ブラッシングで歯を白く*したい人や、汚れをしっかり落としたい人におすすめな反面、歯のエナメル質を傷つけるリスクがあります。歯や歯茎が敏感な状態の人や、小さい子どもは研磨剤なしの歯磨き粉を使うようにしましょう。また、電動歯ブラシを使っている人も歯と歯茎を傷つけやすいため、研磨剤の使用は控えておくのが無難です。

歯のコンディションに合わせて、使用頻度を週1、2回にするなど、調整するのもおすすめ。研磨剤入りの歯磨き粉を効果的に活用して、汚れや色が気にならない歯を目指しましょう。

*歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐこと

歯磨き粉のタイプや成分で絞り込んでも、まだ多くの商品があって迷う人も少なくないはず。ここではドラッグストアで買える人気ブランドを一例として紹介するので、それぞれの特徴を知って、自分に合ったものを選択しましょう。

知覚過敏症状のことを考えたアイテムを多数販売しているシュミテクトは、歯がしみるのを防ぐことを中心に、口腔内の健康づくりをサポートしているブランドです。

「薬用シュミテクト 歯周病ケア」は、シュミテクトのなかでもベーシックなアイテム。歯がしみるのを防ぐとともに高濃度のフッ素を配合し、歯肉炎・歯周炎といった歯周病や虫歯を予防します。

「シュミテクト フューチャーホワイトケア」は、シュミテクトのホワイトニング*¹歯磨き粉のなかでも「未来の着色」にまで着目した商品。ダイアモンドパウダー*²が歯をツヤやかに磨くことによって、着色がつきにくくなる効果が期待できます。

*1：歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐこと ／ *2：酸化AI（清掃剤）

クリニカは「歯医者さんに褒められる歯に」のキャッチフレーズが印象的な、予防歯科を重視しているブランドです。セルフケアによって、きちんと虫歯を予防することのサポートに取り組んでいます。

「クリニカアドバンテージ ハミガキ」は、予防歯科のためのトータルケアが考えられた商品。予防歯科のために大切な「フッ素を歯に残す」「細菌を増やさない」「歯垢を落とす」の、3つのケアを1本で叶えるための成分が配合されています。

「エナメルパール」は、輝きやツヤのある健康的で美しい歯を保つことを考えられた商品です。歯垢や着色汚れを落とすだけではなく、歯のエナメル質の密度を高めることで、虫歯を予防しながらツヤやかな歯を目指すサポートをします。

GUM（ガム）は、歯周病予防を中心に健康な口内環境づくりをサポートしているブランド。「歯周病菌とたたかう」をキャッチフレーズに、歯周病予防の先駆け的な存在として、歯周病リスクから人々を守るための研究を重ねています。

「デンタルペースト」は、GUMシリーズのなかでもベーシックなモデルです。高濃度フッ素を配合しているのはもちろん、歯周病菌を殺菌したうえで殺菌後の歯の破片（LPS）までしっかり吸着除去。効率的に歯周病と口臭を予防します。

「ガム・ハグキラボ デンタルペースト」は、歯茎の健康に焦点を当てた商品。歯周病の原因とされる「歯周病菌の増殖」「歯茎の炎症」「歯茎の組織分解」を抑えるための成分が配合されています。

辛すぎないハーブミント味で、やさしい使い心地なのも魅力。

Ora2（オーラツー）はオーラルビューティケアブランドとして、女性を中心に「くちもとBeauty」を提案しています。歯の美白*や口元の美しさに焦点を当てた商品で、日常のオーラルケアを通じて自信あふれる笑顔をサポートしているブランドです。

*歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐこと

「ステインクリア ペースト」は、歯のくすみや黄ばみなどのステイン（着色汚れ）を落とし、つきにくくすることできれいな歯を保つ商品。大小2サイズの高清掃シリカ*や、ステインをつきにくくする成分が配合されています。

*清掃剤：無水ケイ酸

「オーラツー プレミアム クレンジングペースト プレミアムミント」は、週1回の歯の集中美白*ケアを行う商品。オーラツーシリーズ内で最大濃度のステイン除去成分（清掃剤）を配合し、着色汚れや口臭をディープクレンジングします。

*歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐこと

NONIO（ノニオ）は、「口臭科学から生まれた」がキャッチフレーズのブランド。香りでごまかすのではなく、洗浄・殺菌・清涼の3ステップで口臭原因にアプローチし、クリアな息をキープします。

「NONIOプラスホワイトニングハミガキ」は、「LIPSベストコスメ2025上半期 こだわりアワードオーラルケア部門」で「着色ケア賞」の3位に選ばれた商品。「口臭科学」に基づいた口臭予防効果はもちろん、着色汚れをしっかりと落として、ツルツルで輝く白い歯を目指すサポートをします。

口臭を防ぐNONIO（ノニオ）は、多彩なフレーバーのラインナップも魅力のひとつ。なかでも「NONIOハミガキ」の「スパイシーミント」は、非常に爽快で刺激的。歯磨きで強いスッキリ感を求める人には、もってこいのスパイシーな香味の商品です。

PureOra（ピュオーラ）は「ハグキと歯の未来リスクケア」をコンセプトに、歯周病や虫歯の予防に特化した商品を提供しています。独自の処方や技術によって、毎日の何気ない歯磨きから歯の健康を守り、将来のリスクに備えるケアをサポート。

「薬用ピュオーラ ハミガキ」は、ながら磨きでもしっかりとケアできることがうたわれた商品。製品に含まれている清掃助剤によって、こびりついや歯垢や菌を分散し、根元からはがす処方が取り入れられています。

丁寧な歯磨きをするのが基本ですが、正しい歯磨きができているか自信がない人におすすめです。

「ピュオーラ 泡ハミガキ」は、泡を舌にのせて、クチュクチュしてからブラッシングを行います。殺菌成分が口内に行き渡ることで、歯ブラシが届きにくい歯間や、舌までスッキリとケアできる商品です。

LIPSユーザー565名に普段どのように歯磨き粉を選んでいるのか、重視するポイントや期待する効果、情報源、ブランドの重要性、価格帯などを調査しました。

※LIPSユーザーを対象にしたアンケート集計期間：2024年5月17日(金)～5月19日(日)　n=565

アンケート結果から、「効果・効能」を最も重視して選ぶと回答した人が全体の64.1%を占めていました。2番目に多かったのは「フレーバー」、3番目は「成分」でした。この結果から、価格よりも具体的な効果や使い心地を重視する人が多いことがわかります。

効果についてさらに詳しく調査したところ、最も重視する人が多かったのは「ホワイトニング効果」でした。近年ホワイトニングの需要が高まっており、口元の審美を気にする人が増えています。「歯の色」は見た目の清潔感に与える影響が大きいため、自宅で手軽に始められるホワイトニング歯磨き粉でケアする人が多いようです。

次に「虫歯予防」が24.8%と多く、「歯周病予防」は17.0%でした。また、年齢が上がるにつれて「歯周病予防」や「知覚過敏ケア」の割合が増えていることもわかります。

使っている歯磨き粉のタイプについては、81.9%の人がペーストタイプを使用していました。市場で広く普及しているのがペーストタイプなので、その分ユーザーにとってなじみがあり、手に取りやすいタイプであるともいえるでしょう。

歯磨き粉を選ぶ際に「レビューサイト」を参考にするという回答が全体の41.8%を占めていました。これは、ユーザーが口コミを重視し、実際に使用した人の意見を参考にしていることを示しています。

「歯科医の推奨」も重要な情報源として挙げられており、専門家がおすすめするものを使いたいというニーズが高いことも伺えます。

歯磨き粉を購入する際に「ブランドが重要」かどうかについては、51.3%の人が「重要である」と回答し、残りの48.7%の人は「重要でない」と回答しました。ブランドの重要性は意見が二分する結果に。

使用している歯磨き粉の価格帯は「501円〜1,000円」と回答した人が最も多く、その割合は34.5%でした。次いで「301円〜500円」の価格帯が28.5%、「1,000円以上」の価格帯が23.4%という結果に。

ユーザーは一定の品質を求める傾向があり、比較的高価格帯の商品にも関心が高いことがわかります。特に年代が上がるごとに歯磨き粉にかける金額も高くなる傾向にあります。

せっかく気に入る歯磨き粉を手に入れても、間違った使い方を続けると効果が半減してしまうことも。正しい歯磨きのポイントを知っておきましょう。

濡らした歯ブラシに歯磨き粉をたっぷりつけるのは、よくない歯磨きの仕方です。2歳以下は1〜3mm・3～5歳は5mm・6～14歳は1cm・大人は1～2cm程度を目安に、すべての歯の表面に歯磨き粉が広がるようにやさしく丁寧に磨きましょう。また、成分が口の中に留まるように、歯磨き後のうがいはなるべく少なめにするのがポイントです。

歯磨き粉の使い方と同じくらい、正しいブラッシングも重要。次のポイントを守って虫歯や歯周病を防ぎましょう。

• 歯と歯茎の間や歯間など、磨きたい場所に歯ブラシの毛先を当てる
• 歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で歯に当てる
• 歯ブラシは小刻みに、5～10mm程度の幅で動かす
• 歯1、2本ずつ、一か所あたり10～20回丁寧に磨く

ブラッシングは丁寧に磨こうとすればするほど力が入ってしまいがちなため、力みすぎないように注意。あまり力を入れすぎず、穏やかな力で磨くことが大切です。

清掃効果を高めたい人は、歯間ブラシやマウスウォッシュを併用するのもおすすめ。次の記事では、おすすめのマウスウォッシュやオーラルケアグッズをまとめています。

マウスウォッシュの効果と使い方【おすすめ12選も紹介】口臭を防ぐオーラルケアで息キレイ！

オーラルケアの正しいやり方や順番は？おすすめグッズで口臭対策【マウスウォッシュ・フロスなども紹介】

*参考：クリニカ「正しい歯の磨き方」

歯磨き粉に関するよくある疑問点もチェックしておきましょう。

口の中に入れて使う歯磨き粉は、食べ物同様に期限が気になるところ。使用期限が明記されている場合は、それを守るようにしましょう。特に記載がない場合、未開封なら製造年月日から3年、開封後は半年以内に使い切るのが基本です。製造年月日は箱入りのものなら箱の底、それ以外はチューブの上部などに印字されています。

残念ながら、できてしまった虫歯や歯周病を歯磨き粉で治療することはできません。歯磨き粉の役割は歯磨きによる清掃効果を高めることであり、できるのは虫歯などを予防してリスクを軽減するまで。歯や歯茎の痛みを感じたら、歯医者で診てもらうようにしましょう。

歯磨き粉にできるのは、歯の黄ばみや着色汚れを除去すること。「美白」「ホワイトニング」も、歯の表面の黄ばみ・着色を防ぐことを意味します。歯そのものを白く漂白する効果はありません。

定番の歯磨き粉以外にも、オーラルケアのグッズはさまざまなものが登場しています。自分のライフスタイルや好みに合わせたアイテムを効果的に使いこなしましょう。

以下の記事では、LIPSユーザーがおすすめする人気商品を紹介しているので、ぜひチェックしてくださいね。

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