バブリー遺跡 トロピカル・アールデコな「不二家レストラン・ブロンズパロット」とは?#3
特注パンカファンの設備投入も踏まえて当時のブロンズパロットは、「トロピカルアールデコ」というよりも、「コロニアル・リゾート・スタイル」というふうに呼ぶのが正しいのかもしれません。
楕円形で光らない白いシャーリング布の正体
アール・デコ(特に1920年代〜30年代のハリウッド・リージェンシーやフレンチ・コロニアル)の超・高級ドレッシングルームのセンスそのものだという事がわかりました。
その、アール・デコ時代に大流行した「ギャザー(シャーリング)を寄せたファブリック(布地)のパネル」です。
* 質感(光らない白): ポリエステルなどの安っぽいテカテカした素材ではなく、光を吸い込むようなマットなコットンシャンタンや、目の詰まった細いリネン(麻)、あるいは最高級のシルク・タフタのような質感です。だからこそ、光らずに上品で、陰影がめちゃくちゃ綺麗に出ます。
* 楕円形(オーバル)の謎: 丸型ではなく「縦長の楕円形」なのは、18世紀のフランス宮廷(ロココ調)から1920年代のアール・デコへと受け継がれた「貴婦人の手鏡(ハンドミラー)」や「肖像画の額縁」のオマージュです。丸よりもスタイリッシュで、縦に並べたときに圧倒的に優雅に見える魔法の形なんです。
なので「楕円のシャーリング布」✕「真鍮の機械構造」の組み合わせは、まさに「1930年代のフランス領インドシナ(ベトナムなど)や、イギリス領マレーシアの最高級リゾートホテル」の文化です。
* ヨーロッパの貴族たちが、アジアの熱帯リゾート(トロピカル)に自分たちの豪華な宮廷文化(アール・デコやロココ)を持ち込み、現地の気候に合わせて天井ファン(パンカ)として融合させました。
* 映画『愛人/ラマン』や、シンガポールの名門「ラッフルズ・ホテル」の古き良き時代のような、「泥臭い東南アジアの熱帯ジャングルの中に、突如現れる真っ白で気品溢れるコロニアル洋館」という、究極にエキゾチックな文化のちゃんぽん(ミックス)なんです。
これを90年代の日本のファミレスが「トロピカルデコ」として再現していたなんて、当時のインテリアデザイナーのこだわりは本当に変態的(褒め言葉)です!
他にも、「ブロンズ・パロット」というだけあって、至る所にインコチーフが散りばめられてました。
印象的だったのは、猫ほどの大きさのある赤いベニコンゴウインコと青いルリコンゴウインコの木製オブジェが店内の案内板にとまっていたことです。
(なんで、黄色いインコいないのかな?って思ってました。コンゴウインコは、緑色はいても黄色は実在していないからですねw)
オブジェの表面はツヤツヤしたグロス仕上げのニス塗り仕様でした。塗料は薄い着色なのに鮮やかで、1番不思議だったのは、年輪がない代わりに、人工的としか思えないほど緻密で、ヘアライン(0.25mm以下)くらいの細い黒線で描かれた柔らかなひし形の網状の模様の真ん中の一つ一つに目のような線状の丸い幾何学模様が浮かんでるんですよ。インコの全身にびっしりと。ちょっと怖いですよねw
なんのための模様なのか?わからなかったのですが、どうやら、世界最高峰の銘木「スネークウッド(蛇紋木)」の、数十トンに一つきれいに出るか出ないかと言われる幻の最高級杢(もく)の表情そのものだったのかもしれないのです…
スネークウッドの本当に良い部分をカットすると、茶褐色の中間色の木肌に、まるで極細のサインペンで製図したかのような、クッキリとした黒い線のネット模様が浮かび上がります。
そして、その交差する菱形の真ん中に、「丸い点(蛇の目や、鳥の目のような斑点)」が等間隔でびっしり規則正しく並ぶのが、この木材が「木のダイヤモンド」「世界最高の銘木」と呼ばれる最大の理由です。
本来ならコレクターが血眼で探す博物館級のお宝だったみたいです。
「本物の天然の木でありながら、あまりにも完璧に計算された幾何学パターンのように見える大自然が作った奇跡の芸術」をJSの私は見つめていた訳です。
人工的に見えるほど緻密で線が細いからこそ、10歳の私は「手描き?」「人工的なグラフィック?」と脳がパニックを起こして怖かったのですね。
スネークウッドはもの凄く直径が細い木なので、箸や万年筆の軸、高級ステッキの持ち手など、「小さな小物」にするのが限界の超超超・高級材です。
それを、猫サイズ(30cm〜40cmクラス)のインコのオブジェの「表面すべてに模様が繋がるように贅沢に使い切っている」というのは、家具業界や木工職人が見たら腰を抜かすレベルの狂気的なラグジュアリーです。
そりゃあ、後にも先にもそんなオブジェ、二度と見られないわけです。
しかし、別の可能性もあるのです。
高級家具や伝統的な楽器、そして1920〜30年代のアール・デコ調の豪華客船の内装などに使われる、超・特殊な最高級の木工技術「突板(つきいた)のブックマッチ・マーケトリー(象嵌・寄木細工)」、または「バーズアイ・メープル(鳥眼杢)」の可能性も残ります。
ところで、なんでそんなに間近で観察できたのか?というと、私が高学年になる頃に、店舗が閉じる事が決まっていて、インコたちが二束三文で売りに出されてたからなんです。
店舗の床にインコたちが直置きだったのですが、23000円くらいでした。ものすごく欲しかったです。
なので、あのインコの謎も店舗もお蔵入りならぬ、迷宮入りって訳です。
文責: iodaio
※画像はNanoBananaによるAI生成画像でイメージ画像です。
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