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“日焼けすると老ける”のはなんで? 研究者に聞く『紫外線老化』のメカニズム

シミ・シワ・たるみ…年齢を重ねると増えてくる肌悩み。実は、これらの悩みを引き起こす原因は「加齢」ではなく、「紫外線」による影響が大きいといわれているんです。

今回は、紫外線と肌老化のメカニズムを専門家が徹底解説!さらに、「紫外線を浴びてしまった肌でも、肌老化を遅らせることはできるのか」という謎に挑む、東京農業大学の最新研究を取材しました。

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「なんとなくUV対策」は今すぐ卒業!肌老化の8割を占めるのは「紫外線」

東京農業大学山本久美子助教にお話を聞きました。

「日焼けは肌によくない」とわかってはいても、冬や曇りの日は、つい日焼け止めをサボりがち…なんてことはありませんか?

年齢を重ねると現れるシミ・シワ・たるみなどの“肌老化”。実は、その原因の8割*が紫外線によるものといわれているんです。

だからこそ、外出前の日焼け止めは必須。とはいえ、うっかり日焼けをしてしまうこともあれば、日常の中でどうしても防ぎきれない紫外線もありますよね。

「紫外線を浴びてしまったあとの肌老化の進行を、食い止めることができたら」ーーアフターケアの可能性を切り開く最新研究が進められています。

今回は、老化のメカニズムから、最新の紫外線・老化研究について、東京農業大学・山本久美子助教にじっくりお話をうかがいました。

*Flament F ORCID logo, Bazin R, Laquieze S, Rubert V, Simonpietri E, Piot B「 Effect of the sun on visible clinical signs of aging in Caucasian skin」(2013年)

紫外線を浴びると、肌の奥では何が起きるの?

そもそも、紫外線を浴びた肌では一体何が起きているのでしょうか。山本先生によると、私たちが日常で感じる肌への影響は大きく2つに分けられるそう。

まずは、紫外線を浴びてから数時間〜数日で起きる「日焼け」。そして、何年・何十年とかけてじわじわ蓄積し、シワ・シミ・たるみへとつながる「光老化(ひかりろうか)」です。

シミ・シワ・たるみを招く「活性酸素」の負のスパイラル

シワ・シミ・たるみのメカニズム

なぜ紫外線のダメージが蓄積すると、シワ・シミ・たるみなどの光老化につながるのでしょうか。一因となるのが、肌の中で作られる「活性酸素(ROS)」という物質です。

活性酸素はもともと身体の中にあるもので、外から侵入してきたウイルスや菌と戦い、細胞を守る重要な役割を持っています。しかし、紫外線などの強い刺激を受けると、増えすぎてしまい、肌の中で"負のスパイラル"が起きてしまうんです。

  • 表皮では、メラニンをつくる工場である「メラノサイト」に『肌を守るためにメラニンを作れ!』と指令が飛び、過剰なメラニンが生成されシミとして定着する原因に。
  • 真皮では、活性酸素が増えすぎることで、結果として肌にハリを支えるコラーゲンやエラスチンまで壊されてしまい、シワ・たるみの原因に。

健康な肌では、「抗酸化酵素」が増えすぎた活性酸素を抑え込み、細胞内のバランスを保ってくれます。

しかし、加齢により抗酸化酵素のパワーが衰えたり、食事からの栄養が不足していたりすると、活性酸素の暴走を止められず、老化スピードが加速してしまうと考えられています。

負のスパイラルは止められる?カギを握るのは細胞内のエネルギー工場と「TG2」

では、活性酸素はどこで生まれるのでしょうか。その発生源であり、山本先生の研究の主役でもあるのが、細胞内に存在する「ミトコンドリア」です。

細胞内のエネルギー工場「ミトコンドリア」

ミトコンドリア代謝により、エネルギーが生まれる

ミトコンドリアは、私たちが食事から摂った栄養や酸素を使って、細胞が活動するためのエネルギー(ATP)を生み出す「細胞内のエネルギー発電所」のような存在。活性酸素も抗酸化物質も、どちらもミトコンドリアがエネルギーを生み出す過程(代謝)でつくられています。

「ミトコンドリアが元気いっぱいに働いていれば、エネルギーも、それを守る抗酸化物質もたくさん生成されます。それなら、どんどん工場を動かして、エネルギーをつくり、増えすぎた活性酸素もその場で消してもらったほうがいいわけです」(山本先生)

ところが問題がひとつ。紫外線を浴びると、この大切なエネルギー工場の稼働が遅くなってしまうのです。

ミトコンドリア代謝を阻む酵素「TG2」って?

紫外線を浴びると、ミトコンドリア代謝が低下する

ミトコンドリアの働きを阻む犯人こそ、今回の研究のカギを握る「TG2(トランスグルタミナーゼ)」という酵素です。

TG2はもともと、傷ついた肌を修復したり、タンパク質同士をつなぎ合わせたりする、とても頼もしい存在。しかし、大量の紫外線を浴びると急激に増えて暴走し、

  • ミトコンドリアの代謝を妨げ、エネルギー生産をストップさせる
  • 肌のハリに欠かせないコラーゲンを壊す酵素を増やす

という悪影響を及ぼしてしまうんです。なぜTG2が増えるとミトコンドリアの働きが落ちるのか、その詳しいメカニズムは解明されていません。

紫外線を浴びたあとでも、細胞内のバランスを保つことはできる?

研究室の様子

紫外線を浴びると、エネルギー工場がストップし、コラーゲンが壊されて老化が進む。では反対に、エネルギー工場を止める「TG2」を抑え、ミトコンドリア代謝を促せば、紫外線による肌への悪影響を抑えることができるのではないかーー

そんな仮説のもと、山本先生の研究室では細胞レベルの詳しい実験が続けられています。

これまでの研究では、「TG2の働きをコントロールすることで、真皮の細胞の老化を抑えられる可能性」が見つかったのだそう。そして今、そのときのミトコンドリア代謝にどんな変化が起きているのか、詳しい解析が進められています。

研究が見据えるのは、「紫外線を浴びてしまったあとに、その影響を抑え込むアプローチ」です。

「今はまだ細胞レベルでの検証段階ですが、実際のシワやシミに対して本当に効果があるのかどうか、そこまで見据えて研究を進めています。この研究が進めば、将来的には化粧品だけでなく食品など、別の分野にも応用できるのではないかと考えています」(山本先生)

日焼け止めは「未来への投資」!今日からできる正しいUVケア

研究室の様子

最後に「今からできるUVケア」についてもうかがいました。

肌老化を加速させる紫外線ですが、カラダの健康を保つためにも、ある程度は太陽の光を浴びる必要があります。とはいえ、やはり「浴びすぎ」はNG。

UVAは窓ガラスなども通過するため、夏だけでなく、冬も・雨の日も・室内にいるときでも、年中日焼け止めを使うことが鉄則です。うっかり日焼けしてしまったときは、まず肌を冷やして炎症を鎮め、しっかり保湿してターンオーバーを整えましょう。

「未来の肌のためにも、今のうちから肌の基礎体力を整えておくことが大切です。そのためには、『抗酸化』と『保湿』、そして何より、栄養バランスの良い食事と十分な睡眠。日頃から丁寧なケアを意識してみてくださいね」(山本先生)

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2026年07月07日(Tue)
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