リトルミイ on LIPS 「『C奈もあいつに髪が神だって言われたい。(第1話)』 ..」

『C奈もあいつに髪が神だって言われたい。(第1話)』 ｢お疲れ様でした〜｣ 図書局の仕事を終えて、廊下に出る。 早く帰ってあの本の続き読みたいな。 そんなことを考えながら足取りも軽く歩いていると、突然、曲がり角から誰かが現れた。 勢い余ってぶつかりそうになり、至近距離で目が合う。 知らない男子…。 ｢うわっと、ごめん｣ その人があわてて身をよけた。 ｢ごめんなさい！｣ 私も謝る。 そのまま、彼はさっきまで私がいた図書室の方へ消えていった。 実際、目が合っていたのは1秒にも満たない時間。 でも私には、永遠のように感じられた。 そして、その瞳に吸い込まれるように、私は君に、恋をしたんだ。 私、C奈。高校1年生。図書局に所属している。 彼が図書局に入ったと知ったのは２日後だった。 私とぶつかりそうになったあの日、彼は図書局長に挨拶に来ていたらしい。 彼の名前はD平。 私は、仲良くなりたくて積極的にD平に仕事を教えたり、同じ日に貸し出しの当番になったりした。 図書局の1年生は私とD平だけだということもあって、私たちはよくしゃべるようになった。 ｢なあ、M江さんって髪きれいじゃね？｣ ある日の放課後、一緒に貸し出しカウンターに座って雑誌を読んでいたD平が言った。 図書室に人はまばらで、傾きかけた日差しが照らす室内にはゆったりとした時間が流れている。 ｢まさに神ってかんじだな。髪なだけに｣ M江さんとは、3年生の先輩で図書局長のことで、髪はサラッサラのロングヘア。 つやつやした髪を惜しみもなく背中に垂らして、女の私でも見とれるほどの美髪の持ち主だ。 ｢D平は髪がきれいな女の人が好きなの？｣ D平がM江さんを褒めたのがおもしろくなくて、D平のボケをスルーしてきく。 ちょっと不機嫌な声が出たかもしれない。 ｢どうだろう…。そうなのかもな｣ D平は、それには気づかない様子でそう答え、また手元の雑誌に目を戻した。 でも私は、なんだかもやもやした気持ちが胸の底に残って、全然本に集中できないまま放課後を過ごした。 次の日、思いきって友達のA子にきいてみた。 ｢ねぇ、私の髪ってどうかな｣ 質問が唐突すぎたのか、A子は最初きょとんとしていたが、 ｢えっと…まっすぐでまとまっててきれいだから、うらやましいよ！｣ そう言って、えへへ…とはにかむ。 その仕草がかわいくて、私はもう、と笑いながら思わずA子をきゅうっと抱きしめた。 ｢A子の髪、ふわふわ！｣ A子の首に回した手で、柔らかい髪をもふもふ、と触る。 ｢あ、私、猫っ毛だから…｣ 栗色の髪は、柔らかな指通りでずっと触っていたい感覚に駆られる。 A子が私の髪にも指を通した。 ｢C奈の髪、さらさ…あれ？｣ 私の頭皮が勢いよく引っ張られ、思わずうっと声を出すと、A子が固まった。 A子の指は、私の髪に盛大に絡まっていた。 (第2話につづく) ▼･ェ･▼･ェ･▼･ェ･▼･ェ･▼･ェ･▼･ェ･▼･ェ･▼ 最後まで読んでくださってありがとうございます🥰 リトルミイです🎈 今度はC奈が主人公のヘアケアに関するストーリー💇✨ 感想、リクエストなどなど、気軽にコメントしてくださ〜い🧸💕 #ヘアケア #髪 #ストーリー #リトルミイのストーリー #C奈もあいつに髪が神だって言われたい第1話